僕が住む横芝光町は、都市ガス網は一切配備されていない。千葉県は天然ガスの湧出量が多く、自宅の近所でもガス田の設備は所々で見かけるが、あいにく地元はその恩恵を受けていない。
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 そのため、自宅でガスを使う場合は否応なしにプロパンガスを選択せざるを得ないのだが、ご存じの通り、プロパンガスというものはその料金体系がきわめて不明瞭なインフラである。

 特に賃貸物件の場合、家主に対してガス設備をサービスで取り付ける一方で、その費用を入居者のガス料金に上乗せして回収する手法が横行していて、都市ガスと比較してあまりに割高なガス料金の負担を強いられている人も少なくない。契約はあくまでプロパンガス会社と家主が結ぶものなので、入居者にはガス会社の変更も認められていない。

 ご多分に漏れず借家の我が家も同様で、あまりにガス料金が高いので、家主にガス会社の変更を希望したこともあるのだが、まだガス器具を取り付けてあまり年数が経っていないからと、にべもなく断られてしまった。仕方ないので我が家では、なるべくガスを使わない自衛策を考えて料金を抑えることにした。

 まず冬場の台所の食器洗いは、大きめの容器に洗い物を入れた上で水を張り、中国の通販サイト「AliExpress」で購入した投げ込み式のヒーターで適温までお湯を沸かして洗っている。
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 洗剤を流し落とすときは結局水なので、手が冷たいことに変わりはないのだが、お湯を使わないと汚れが落ちにくいので、面倒だがこの方法を採用している。40度程度のお湯を作るのに約30分ほどかかるので、タイマーを使っている。

 ちなみにこの投げ込み式ヒーターの小型のものは、かつてバックパッカーが旅先でよく持ち歩いていたアイテムの1つだった。旅先の部屋で、コップにこのヒーターを入れてお湯を沸かし、お茶やラーメンを作るのである。

 今はよほど粗末な宿でもない限り、湯沸かしポットの1つくらい備え付けていると思うので、こんなものを持ち歩く旅行者も減っているとは思うが、暗い安宿の部屋で、コポコポとお湯が沸くのを呑気に待つ時間は、まさに平和で穏やかな旅の時間そのものだったと思う。
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 ただしこれは、単に電熱コイルに電流を流して熱を加えるだけの代物なので、作動中に湯加減を確かめようと指などを入れると感電する。危険なので決しておすすめ出来る製品ではない。もとより、食器洗い機を買えばすべて解決する話である。

 ガスコンロはIHクッキングヒーターに交換した。これは特に語るほどのものでもないが、メルカリで2口タイプの新品が送料込みで5000円で売っていたので即買いした。特に不満もなく毎日使っている。ガス火が必要な土鍋などはカセットコンロを使う。
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 最大の課題は風呂だ。そもそも、台所のお湯やコンロで使うガスの量などたかが知れていて、ガスの使用量の大半は風呂場で使用する給湯器だと思う。「風呂バンス」など、電気で風呂の湯を沸かす器具はあるのだが、どういうわけか異様に高価で、しかも沸かすのに時間がかかるので、我が家はガスの湯張りと、水槽用のヒーター(500w)を併用することにした。

 まずは普通にガスで沸かしたお湯を張り、入浴後、熱帯魚の飼育に使う水槽用のヒーターを作動させて保温する。そのまま放置すると水温は上昇する一方なので、サーモスタットを介し、43度まで上昇したらヒーターを停止、逆に42度まで下がったらヒーターを再稼働、という設定にして保温を行っている。
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 ただ、水槽用のヒーターは、空炊きによる火災防止のために、空炊き防止装置というものが付いていて、例えばまだヒーターが冷めないうちに湯船から取り出したりして、この装置が作動するとヒーターは破壊されて使用不能になってしまう。こうなると修復もできず処分するしかない。過去、これで2度もヒーターを壊して買い直す羽目になってしまった。ヒーターはひとつ4000円ほどで、痛い出費である。
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 風呂場の見た目は汚いし、勝手に自前で灯油給湯器を調達して付け替えようかなとも考えていたが、周知の通り現在は半導体不足とやらで給湯器が極端に入手困難となっており、それも実現不可能になってしまった。

 僕のTwitterのフォロワーさんや、メインブログの読者さんの方の中には、不動産の賃貸経営をしている方、あるいはその予定のある方もいらっしゃると思うが、プロパンガス会社との設備貸与契約は、入居者の満足度を大きく下げる要因になりかねないので、その導入は慎重に判断してもらえるとありがたい。

 横芝光町はガスの選択の余地はなく、僕は今の家は気に入っていて、ガスを理由に退去する気にはなれないので我慢しているが、例えば東金や茂原のように、市内に都市ガスが配備されている地域がある町だと、割高過ぎるガス代が定着率の悪化につながるおそれもある。実際、僕の知人の賃貸オーナーは、それを理由にガス会社との設備貸与契約を結んでいない。どうかお手柔らかにお願いします。
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【追記】 
 ちなみに北総の限界ニュータウンの中には、団地専用の「集中プロパンガス」を配備しているところもあるが、70程度世帯以上の世帯に供給する集中プロパンガスは「簡易ガス事業」の扱いとなり、法定の料金体系が定められているので、一般家庭用の個別プロパンガスほど割高な価格であることはない。